A1. 大雑把に制度の趣旨をお話しますと、「国民の皆さん、収入や経費をきちんと計算して正しく自己申告できる人に育って下さいね。それができる人には色々と優遇しちゃいますから。優遇されたい人は青色申告を選択していいですよ。」ってことですので、それが青色申告のメリットであり、デメリットであるわけです。つまり、青色申告は優遇というアメときちんと計算するというムチを受け入れることなのです。裏返して言いますと、白色申告にはアメはありませんが、極端な話、計算については何でもありと言いますか・・・、ややお気楽な感じです。
青色申告のメリットは数多くあるのですが、代表的なものを挙げますと、@青色専従者給与の必要経費算入、A純損失の繰越し控除・繰戻し還付、B青色申告特別控除などがあります。
これらにはそれぞれ適用を受けるための要件がありますのでご注意下さい。例えば、青色申告を選択するためには、その青色申告の承認申請書を所轄税務署長に3月15日まで(または開業後2ヶ月以内)に提出しなければ、来年からの適用になってしまいます。というようなことが諸々ありますから、青色申告を検討される場合は税理士に相談されることをお勧めします。私の経験からですと、青色申告者の99 .9%は何らかの形で税理士のアドバイスを受けていますし、逆に、私共のクライアントの99.9%は青色申告者です。これが「白色申告はお気楽だ」という言葉の実体です。
青色申告のメリットも解説致しましょうか。
@青色専従者給与の必要経費算入
5棟10室以上の「事業」規模で建物の貸付けを行っている場合に限られますが、奥さんなどに支払った給与が経費として認められます。その効果として、課税所得が2人に分散されますから、累進税率の重みを軽減することができます。ただし、この場合には、配偶者控除・扶養者控除の適用はありません(経費と控除のダブル適用を許すほど甘くありません)。配偶者控除だと38万円ですが、給与だと場合によっては200万円でも300万円でも経費に算入できるようになりますから、収入の多い方には大きな効果が期待できます。ちなみに、白色申告でも専従者給与の必要経費算入はありますが、最高86万円までです。
A純損失の繰越し控除・繰戻し還付
繰越し控除は、他の所得(例えば、給与所得など)から引き切れなかった損失(赤字の所得)を翌年以降3年間繰り越して、その間の黒字の所得から控除することができるというものです。繰戻し還付は、前年納めた所得税のうち今年の損失に相当する金額の還付を受けることもできるというものです。参考までに、白色申告者は儲かれば課税されますが、赤字だと救済さないということです。
B青色申告特別控除
領収証がなくても最高10万円を所得から引くことができます。事業規模で複式簿記による経理をしているなどの要件を満たす場合には最高65万円まで所得から引くことができますので、決して効果は小さくないと思います。
A2. 前提にされている通り、不動産所得の計算上必要経費の額に算入できるのは、土地建物の購入対価のうち建物部分だけで、土地部分は売却される際の取得費に算入されるまで所得から引くことはできません。
では、減価償却費の計算ですが、減価償却費は償却方法と耐用年数(償却率)で決まります。現在、建物の償却方法は「定額法」に限定されています。定額法とは、取得の年を例外として2年目以降は毎年一定額を経費に算入する方法です。そして耐用年数ですが、 新築の 木造の住宅用建物は22年 と決められていて、ご質問のように中古資産の場合は、この22年と築年数の18年から次のように耐用年数を求めることになっています。
(22年−18年)+18年×20%=7年(端数切捨て)
定額法・耐用年数7年 の償却率は 0.142 と決められています から、減価償却費は次のように計算します 。
2年目以降の計算は1500万円 × 0.142 = 2,130,000 円となります。
1年目の場合はこれを月割り計算しますから、6月1日〜30日の取得を例にしますと、 ×7 /12= 1 ,242,500 円となります。
(文責:株式会社クラフコ)